アートサイト直島(2)
直島の「地中美術館」より、どちらかというと「家プロジェクト」のほうが印象深く、感動も大きかった。それは典型的な瀬戸内の島の集落(瓦屋根、古い板壁、細い路地・・)を迷いながら歩くという体験がポイントだと思う。看板もなにもないのに、道を曲がったらふっとその現場に出会ってしまう、というような、思いがけない出会いの繰り返し。とくに印象深かったのは「角屋」という、私の好きな宮島達男というアーティストの作品(どんな作品かは、やはり「直島・家プロジェクト レポート」)を参照)。ちょうどこの「角屋」の薄暗い室内に入ったところ、一匹の三毛猫が裏口(戸は開けっ放し)からまっすぐこっちへ入ってきた。三毛猫は、ここは自分の家だというようにずんずん奥に入って行き、作品として作られた“座敷にある大きな四角い池”の周囲の縁側みたいなところを歩き、一番奥の一番いい場所で、ぴちゃぴちゃと水を飲み始めた・・。ここはちょうどいい水飲み場だったのかー。それからしばらくのんびりして、縁側のところに座っている私の足に無理やり体をこすりつけ(これって猫の挨拶?)、その隣りの人の足にも、その向こうの人の足にも、体をこすりながら去っていった。猫好きな人には最高のアクシデントだったろう(私は嫌いだけど)
それから「護王神社」。すこし石段を上ったりするので、杖使いの私はどうかと思ったけど、せっかくなので行くことにした。が、行ってみて、大正解だった!!この、ガラス(氷にも見える)の階段をもった不思議な神社は、それだけでも充分に面白い作品なのに、じつはその地下に入れる横穴があるのだ。これも案内表示のひとつもないので、現場で気づいた人しか気づかない(私は偶然に、母が気づいてくれたため入ることができた)その地下空間は古墳の石室に似ていて、あまりに狭いので、ボランティアスタッフがいて1組ずつの入場制限をしている。しばらく行列に並んだ後、私と両親の3人だけで懐中電灯を手にしてギリギリ1人しか通れない隙間から中に入ってみると、その奥に2畳くらいの部屋がある。そこにはなんと、あの神社のガラスの階段の、地下へのつづきがあったのだ! 地上の光がうっすらと差して、それは恐ろしいような神さびた空間だった。なんとも口でうまく説明できない、実際にあの場所へ行った人にしかわからない感覚。こういうセンスはさすがにすばらしい。
「家プロジェクト」は完全予約制の作品もあり、また入場制限&長蛇の列で見学をあきらめた作品もあるので、次回はもっと空いた時期に予約してから行ってみたいと思う。こんな小さな小さな島に、こんなハイレベルな作品群と、お盆だというのに何時間も外に立って案内するボランティアスタッフたち(その多くは地元の高齢者)、そういう出来事と、偶然の出会い、すべてが感動的だった。ほんとうにありがとう!

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